食と農の未来会議・京都では、保育園・幼稚園の給食に有機野菜を導入している園の実践例を伺っています。
2022年12月5日には、西陣和楽園さんにお伺いしました。

西陣和楽園さんは、創立100周年を迎えた私立保育園。
給食の調味料には天然醸造のもの・化学調味料無添加のものを選び、野菜たっぷりのメニュー、また野菜の一部は近所の有機農家さんから直接納入してもらっています。
園長の衣川斗美子先生、調理師の松田先生・藤本先生にお話を伺いました。
 
園長先生は、ご自身の体調管理の過程で食の大切さを学び、まずは園の給食の調味料の変更に踏み切られたそうです。
また野菜は長らくお付き合いのある八百屋さんに加えて、ご近所の有機農家さんから夏前から9月にはいるまで、有機栽培のジャガイモ、玉ネギ、ナス、トマト、万願寺トウガラシを納入してもらっています。
お米も、2022年から滋賀産の無農薬のもに変えられ、七ぶづき（7割精米）のものを利用しています。
 特に調理過程で素材の味を大事にしていて、離乳食初期と中期は水だき。後期前半はかつおだしのみ、後期後半になったら、かつおだしに加えて少し調味料をいれるなど、素材のみの味の時期を長くとっています。

調理師松田先生の印象深いお話。
 「子どもたちは味を、ちゃんとわかってくれていると思います。
しっかり味をつけなくても、料理の仕方が大事で、うまみをひきだすような調理をしています。
今日は『（調理に）力がはいったな』と思ったら、子どもたちも、よく食べてくれます。
調味料が変わっただけでも、味が全然違います。
たとえば一般の市販の調味料は、少しいれても味がつくけれど、調味料を変えた当初は、味がすぐにはつかない『やさしい味』なので、どうしたらよいかと悩んでいました。
たまたま長く煮込んだ時があって、とてもおいしくなることがわかりました。
（化学調味料無添加の）コンソメと中華だしも、水から具材をいれてぐつぐつぐつ煮込むと、お醤油を入れなくても味がよくしみるし、ぐつぐつ煮込んだ日は子どもたちもよく食べています。私たち大人が食べてもおいしいと思います。
調味料全部を変えて３年になりますが、いまだに味との戦いです」
 とのこと。

常に素材と調味料、調理法に工夫をこらして、日々の給食を提供しておられることに感銘をうけました。
 
園では１年に１回の親子クッキングイベントを実施。
 また毎日の給食・おやつメニューは、園の前に展示されています。
【写真：12月5日。３歳児さん用】。
給食：ごはん、鯖の味噌煮、カブ（京都産）のサラダ、具だくさんの豆腐の味噌汁。
おやつ：牛乳と蒸し芋（徳島産）
 
このように選ばれた食材、丁寧に調理されたお野菜たっぷりの給食・おやつを、保育園で毎日いただけるのは、お子さんの成長に良いのはもちろんのこと、保護者の方々にとっても大きな安心ですね。



＜取材を終えて＞
西陣和楽園さんのように、ご近所に有機農家さんがおられる場合は、直接の野菜納入が可能ですが、そうでない場合の生産・流通（配達）のしくみづくりをどのように作っていくかが、私たちの大きな課題であることを改めて感じました。
（取材：真貝理香・中村貴子）